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(コココーララボvol.2『助走』では、山内・松田・荒それぞれが、荒振付けのソロダンス作品を上演しました。3作品とも台詞や言葉を発する場面のあるダンス作品でした。その鑑賞後のおたよりコーナーにて)

加藤 振りを渡されて、振りとセリフを渡されて…。

山内 まず、演出はどうやって渡してるの?

  え、渡し方?

山内 渡し方なんだなあ。

加藤 演出からの渡し方と、多分、渡されて俳優がそれに対してどうやっていってるかですね。 難しい…大きい話ですね。

山内 なんかでも戦略があるよね。作戦は立てているよね?

  …なんかね、戦略はあるんですよ。

松田 すごいあるよね。

  すごいある。

松田 うん。

  相当あるんですよ、戦略が。戦略があって…。

山内 (考え込む荒の様子を見て)恥ずかしいことを喋ろう(笑)。

  いや恥ずかしいのかな、俺…。

山内 まだ喋る時じゃない?

  いやいや、なんか、言語化できてないんです。

山内 そうなんだ。

  うーん…。 なんか「この言葉だからこの動きの感じになってる」っていうのはあって。言葉ってどうしてもみんな意味をとっていくじゃないですか。言葉の意味をとっていくし、それに感情を乗せる。でもなんか動きってそういう風になりづらいし、抽象的な動きとかだと、何て言うんだろう…解釈することに無理が出てきたりするところがあって。例えばこういう動き(すっと手を挙げる)だったら挨拶になるかもしれないけど、こう動いた(すっと手を挙げ、挙げた手の指を不規則にじわじわ動かす)途端に一個「何かを解釈しても誤解かもしれない」っていうのが生じてくる。で、それに「おはよう(普通の発声で)」って言うのを「おはよう(低く長めに発音)」て言ったら、 なんか意図がかなり限定されてくる、とか。その理解度のメモリの違いや、すぐ理解できること、後から効いてくること、みたいなのを組み合わせとして相当選んでやってます。ある話題を話したあと、ちょっと間を置いてそれが染み込んでいく時間をつくるとか、その前の話題をちょっと引きずって考えている間にぼーっと見れる動きをするとか、なんかこう派手な動きをしているけどなんか言葉はすごく退屈にきこえるように、だけどなんかリズムがある…とか、そういうので細かくやってはいるんだけれど。全体的にっていうとかなり説明が難しいですね 。

山内 こないだあの小説を書かれたじゃないですか。『群像』(※1)の。

(※1)講談社発行の月刊文芸雑誌。(注:小原)

  『群像』、はい。小説も書くんですよ僕。はい。

山内 多才ですよね。『群像新人文学賞』の最終候補(※2)にいたんだよね。

(※2)小説、荒悠平『とてもふつう』。2019年度 第62回『群像新人文学賞』応募総数2238篇から5篇の最終候補作が選ばれた。『群像』2019年6月号選評掲載。(注:加藤)

  そうそう

山内 それを書いた時のことを聞いたら「ダンスのやり方で通じるんだと思った」っていう風に言ってたじゃないですか。

  言った?

山内 言った。それと同じこと?(様子を伺って)違いましたかね?

  いや……でも、ダンスしてるときのリズムの広げ方とか視野の広げ方、周りの環境への、受け取ることでそれに対する返しとしてのアクションを作っていくとか、そういうものを観察することが既にもう下手なクリエイションよりも全然クリエイティブ、みたいな、そういうことはかなり利用していて。”歩く”とかも、これが ”歩く”(動作を見せて)っていうものだと思うけれども、この中心をぐっと踏んでる時点でもう始まってる、みたいなことをかなりミクロにいろいろ扱って。

山内 それを小説でやったってこと?

  はい。

山内 ほう。小説は読む人がスピードを作るじゃないですか。選べるじゃないですか。

  それはなんか…。

山内 それでも通じるとこってことか。

  かなりね、仕掛け大好きなんですよ。

山内 はあ。

松田 仕掛けられた!

  おう(笑)。

松田 おう!(笑)

  …で、なんでしたっけ? アプローチの話?

加藤 ”言葉と身体へのアプローチ”。

松田 私は何か言われると大抵誤解するんです。あの、いろんなことをいろんな風に伝えられるんですけど 、例えば、やって見せてもらった動きをビデオで見て「こうだ!」と思っても、実際に自分でコピーすると間違ってる。コピーしなくていいところをコピーしちゃってたりとかする。あと、例えば「動きは動きで一本こう流れていて、言葉は言葉で別に流れていて、その平行が同時にあるといいですね」って言われたことを自分なりに「こういうことかな」と思ってやってみたら、結局間違ってたり(笑)。

  あ、でもそれマチコさんが間違ってるというよりも、その僕からマチコさんへの「伝え方」がうまく機能していないっていうことですよ。そういうのを何度も繰り返して作品が作られていってるとうことですよ。それを僕は楽しんでいますよ、なんか怖がられているような気もするけど。

松田 怖いですね(笑)。あとなんか、ある時、これまで稽古でしてたことが全然できなくなってたことがあって、そしたら荒くんに「最近ダンスのレッスンとかに行きましたか?」って言われて。「あー昨日ヒップホップのレッスンに行きました。」「あ、それか!」ってやりとりがあった。

(会場笑)

  その時はマチコさんの身体の状態とか、指向性が全然変わっちゃって見えて「なんだろうこれ?」と思ってびっくりしたの。それで「最近なんかありました?」って色々聞いてたらね(笑)。

加藤 すごい。

  山内さんは?

山内 アプローチ…。こうしてるっていう結論としてではなく、いまはこうしてるっていう途中報告になっちゃうけど。これまでコンテンポラリーのダンスで白神さん(※3)とか、芝居の中では井手さん(※4)とかに結構ガッツリ振り付けてもらった経験があるはあるんです。でも、やっぱり今回の荒くんの振り付けは「全然違うなあ」っていうのは実感であります。まあ「これどうしたらいいのかな」と割とのんびり考えているんですけど…。毎日稽古で振り付けしてもらったら最後に荒くんが1回通してやってくれて、それを記憶するために撮影してたんですけど。その映像を見ると、とても、あの、よくわかるんです。「この振りは、こう伸ばしていくのか! この言葉に対して!」っていうのが見てるとね、僕はすごくいいなって思うんですけれども。でもそれを自分でやると、振りと言葉がやっぱりどうつながっていいかがわからないんです。とりあえずは僕が見ていいなと思っている、その敬意というかリスペクトというか直感っていうか、いいなと思っているそこに飛び込んで行こうって思ってやるんですけれども。まあそれにしても策がないので結局はお芝居の時に感じているやり方とかを切り貼りして。動く時にタスクや意図として気を使ってるっていう意識が見えちゃったらもうだめなんだったら、じゃあ、そう見えないくらい体に自動的に入れちゃおうとしたり。でも自動的にやったら意味が落ちちゃうので「どうしたらいいんだろう?」って荒くんに言ったら、昨日なんかねぇ、ジャズの話になって。グルーヴとか、いろんなミュージシャンの話とかして。「そういうのもいいなぁ」と思ったりもして。だから今、どっちかと言うと演奏に近くなっています。経過報告として言うと。

(※3)白神ももこさん。ダンサー。ダンス・パフォーマンス的グループ モモンガコンプレックス主宰。白神さんの振り付けで山内さんが踊ったのは、青年団国際演劇交流プロジェクト2009 日仏交流企画『鳥の飛ぶ高さ』(2009年)、ままごと『わが星』(2015年)でのこと。ちなみに、初期のコココーララボの稽古に足を運んでくださった白神ももこさんの提案によりはじまったのがこの「おたよりコーナー」である。(注:加藤)

(※4)井手茂太さん。振付家、ダンサー、イデビアン・クルー主宰。井手さんの振り付けで山内さんが踊ったのは、MODE+世田谷パブリックシアター『AMERIKA』(2001年)でのこと。(注:加藤)

(2019年7月5日 コココーララボ vol.2 にて)

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